人外娘と女主人の奇妙な生活【R-18百合】

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これは少女が屋敷を出ていく前のお話…。

※当記事は裸、女性同士のウフフシーン、死、墓の描写など過激な要素が含まれます。(苦手な描写がある部分は高速スクロールしてください)

閲覧の際はすべて自己責任でお願いいたします。

Willow Creekに1人で住む少女は、どこにでもいる普通の女の子。

音楽家になることを夢見て、楽器を購入するために毎日アルバイトに勤しむ頑張り屋な子だ。

家賃と毎日の食費で少ない給料が削られ、残るのは雀の涙程度。

それでも少女は明日に希望を持ち、ハムとチーズのサンドイッチで飢えを凌ぐ。

そんないつも明るく愛らしい彼女は近所の人々に慕われていた。

「いつか楽器が買えたら、皆に私の演奏を披露したい!」

大きな目標の中にやりたいことを見つけた少女はキラキラと目を輝かす。

それから少女はコツコツとバイト代を貯め続け、あと少しで楽器が購入できる……はずだった。

彼女は不慮の事故でこの世を去ってしまった。

血を流して倒れる少女の傍らには、ガードレールにぶつかり大破した車、運転席側の扉は開いたまま、もぬけの殻だ。

事故はバイトへ向かう途中に起きた出来事で、この日は給料日でもあった。

罪のない少女の命が消えるには、あまりにも残酷な運命である。

近所の人々は彼女の死を嘆き悲しみ、せめてもの弔いとして墓石を建ててあげ、天国で幸せに暮らしてほしいと祈った。

逢魔が時になり、人々は木棺で眠る少女に別れを告げて帰路につく。

それから墓地はシンと静まり返り、辺り一帯が暗闇に包まれた。

深夜2時を過ぎた頃、ポツリ、またポツリと雨粒が降り、次第に激しい雷雨に変わった。

カッと鋭く光った瞬間、落雷が少女の眠る場所に落ちる。

落雷の衝撃によって近くに生えていた木が燃え、火の手が墓を襲う。

さらに埋め方が甘かったのか、雨によって土が流れしまい、木棺が一部露わになりそこへ火が燃え移った。

このままでは少女の身体ごと黒焦げになるだろう。

だが幸いにも、火は雨のおかげですぐに消火された。

……しばらくして雷雨がおさまった時だった。

木棺の蓋部分が燃え尽きたことで少女の身体に外気が触れる。

そのままでは腐敗が早まり、見るも無残な状態になってしまう。

だが――――

少女はゆっくり瞼を開け、空を見上げた。

けれど生き返ったにしては言葉を発しようとせず、起き上がろうともしない。

ただボーっと、濁った空を見上げるだけだ。

少女はむくりと起き上がり、ひどくぬかるんだ地面の上に立っても歩きだす気配はない。

生前の明るく可愛らしい表情は消え失せ、代わりに生気のない虚ろな目をしている。

自分がなぜここにいるのか分かっておらず、自身の変わり果てた姿にも気づいていないようだ。

ふと、微かに泥と焦げ臭いが少女の鼻腔を突く。

彼女が後ろを振り返ると、そこには煤まみれの墓石があった。

近所の人々が弔いのためにお金を出し合って建てたようだが、先ほどの落雷と炎で煤だらけになり、文字がほとんど読めない。

少女は無表情のまま墓石を見つめる。

墓石に彫られていたのは、

『■■■・アリス』。

冷たい強風に押されて少女はやっと歩き出した。

ぬかるんだ地面に足を取られて転んでも、何食わぬ顔でまた立ち上がる。

虚ろな表情を浮かべてどこへ行くのか。

まるで徘徊するゾンビのようだ。

足が小枝や石で傷だらけになり、泥が染みて痛むはずだが少女は気にせず歩き続ける。

何時間も歩き続けたのち、少女が辿り着いたのは薄暗い街の路地裏だった。

深夜なため通行人はいないが、ネズミの死骸や廃棄物で汚れ、浮浪者さえ寄り付かないひどく不衛生な場所だ。

このまま朝を迎えても、正体不明の不気味な少女を誰も助けようとはしない。

路地裏で寝る存在に声をかけるのは、馬鹿なほど優しい人間か、酔っ払いだけだろう。

コツ、コツ、コツ。

少女の耳に入ったのは、小さくて堅い何かが地面を叩く音だった。

街灯のある道から聞こえ、その音がだんだんこちらへ近づいていき――

少女はロングコートを羽織った黒髪の女と目が合う。

黒髪の女が少女の方へつま先を向けると、また堅い音が聞こえた。

どうやら先ほどの音の正体は彼女が履いている靴だったようだ。

街灯に照らされた黒髪の女は端麗な顔立ちだがひどく無愛想で、ポケットに手を突っ込んだまま少女に言う。

「この辺は治安がいいけど、その格好じゃあ襲われても文句は言えないな」

ぶっきらぼうな言い方だが彼女なりの忠告らしい。

それでも少女は返事をせず、彼女をジッと見つめたまま動かない。

「ハア…」

黒髪の女は気だるそうにため息をつくと、路地裏へ入る。

「何だこの匂い。いつ風呂に入った?」

少女を抱えた瞬間、女は顔をしかめた。

彼女から漂う土や煤の臭いに紛れ、防腐剤の独特な異臭が鼻腔を突いたようだ。

しかし訳を聞こうとしても、少女は女を見つめるだけで返事をしない。

「やれやれ。野良猫を拾ったほうがまだマシだな」

女はそう言って彼女を抱えたまま自分の家へと歩を進めた。

歩く度に、黒髪の女から香る甘く優しいムスクの香りが少女の鼻をかすめる。

今まで嗅いだことのない上品な香りに少女は自然と瞼を閉じ、意識が心地よい夢の中へ遠ざかるのを感じた。

次に目を覚ましたのは、オイルカラーの匂いで充満する見知らぬ部屋だった。

上品な内装に似つかわしくないポップな音楽が蓄音機から流れてくる。

そして少女はいつの間にか高価そうな服を着ており、傷だらけの足も手当てされていた。

目の前にいたのは少女を拾った黒髪の女だった。

彼女は少女が起きたことに気づかず、真剣な眼差しでキャンバスに筆を走らせる。

壁にたくさんの油絵が飾ってあることから、女は画家みたいだ。

少女は絵の女の子と服装が同じだと分かった瞬間、初めて自分の姿を認識した。

土気色の肌に死者のような瞳、そして顔に痛々しく残る傷跡。

ただの人間なら変わり果てた自分を見て発狂するかもしれない。

けれど、少女は自身の変化に反応を示さなかった。

黒髪の女は絵を完成させたのち、視線を感じて漸く少女が起きたことに気づく。

「やっと目が覚めたか。風呂に入れても起きなかったから死んだと思ったよ」

女の手が少女の頬に触れた瞬間、ピクリと止まった。

先ほど彼女を湯が張ったバスタブに入れたにもかかわらず、氷のように冷たいからだ。

その上、話しかけても少女は何も語ろうとしない。

「口がきけないのか?面倒なものを拾ってしまったな」

黒髪の女はめんどくさそうに頭を掻く。

だが、その嫌味たらしい言葉に悪意は感じられなかった。

女は大きな屋敷に1人で暮らしているようで、一部の人間以外の訪問を固く拒否しているそうだ。

室内を見渡しても家族や友人の写真は一切なく、大量の絵画が飾られているにもかかわらず物寂しく感じられた。

「空き部屋がある。寝たいならそこを使え」

黒髪の女は少女を小さな部屋へ連れていく。

シングルベッドにテーブルと椅子、そして数冊の本がある簡素な部屋だった。

少女が部屋に取り残されボーっとしていると、微かにピアノのメロディーが聞こえてくる。

部屋から出て階段を降り、音の鳴る方へフラフラと廊下を進んでいく。

ドアノブに手をかけ、扉を開くと黒髪の女がピアノを弾いていた。

気の向くまま音を奏でるその姿に、少女は気づかないだろうがほんの一瞬だけ頬が緩む。

気づけば彼女は、伴奏が終わるまで部屋の隅で佇んでいた。

それから少女は黒髪の女と暮らし始める。

すべて女の見よう見まねだが慣れてくると庭に咲く植物に水をやり、簡単な料理もこなせるようになった。

生きていた頃の習慣を思い出したのだろうか。

けれど、1週間、半月経っても彼女は記憶を取り戻す様子がない。

黒髪の女も出ていけと言わず、彼女のやりたいようにやらせている。

最初、放っておけばそのうち出ていくだろうと思ったが少女にそんな気配がなく、追い出すのも面倒だから放置することにしたらしい。

「名前ぐらい言ってみろ」

「…」

「話し相手にもならないんじゃあ、暇つぶしにも…あっ」

女は何かを思い出したらしく、気まずそうに顔をしかめる。

「滅多に人と話さないから名乗るのを忘れていた。私の名はクロツ・フユノだ」

フユノ。

少女はフユノの顔をじっと見つめた。

フユノが少女を拾ってから3か月が経過した。

「こうして1人で喋ってると疲れる。お前もなんか言え」

「…」

「今日もダメか。猫でも鳴きはするんだがな」

2人は毎日、チェスやガーデニング、くだらないテレビ番組を見て時間を潰していた。

しかしそんな他愛のない日々の中で少女に変化が訪れた。

「フ…ュ…ノ」

フユノは少女の言葉を聞き逃さず、すぐ後ろを振り向いた。

「お前は誰だ?」

「ア…」

少女は霧の中を手探りで歩くように、失った記憶から僅かに覚えている墓石を頭の中で思い浮かべる。

唯一覚えている文字。

それは――

「アリス」

「アリスか。やっと名前を呼べるな」

アリスと出会ってから、初めてフユノは微笑んだ。

言葉を取り戻した彼女は毎日フユノに話しかけたが、名前以外の記憶は思い出せなかった。

それでもアリスは憂うことなく、花に水を与えたように生き生きとした表情を彼女に見せる。

アリスはふと、フユノに気になっていたことを問う。

「どうして路地裏にいた私を助けてくれたの?」

「助けたつもりはない。あの時はただ…酒を飲みすぎただけだ」

フユノはアリスから顔を背け、そう答える。

彼女はそれ以上語ろうとしなかったけれど、アリスは満足そうに目を細めた。

ある日、アリスは恋愛ドラマを見て覚えたのか、誘惑の仕草をフユノにやってみせた。

「こらこら、急にどうした?」

フユノは嫌がったりせず、むしろ可笑しそうに笑う。

このやり取りに味を占めたアリスは飽きるまで投げキッスを繰り返し、フユノも誘惑される度に彼女の頭を撫でてあげた。

出会った当初の冷たい雰囲気が柔らかくなっていき、2人の距離は少しずつ近づいていく。

やがてフユノはアリスを自分のベッドに座らせるまで心を許すようになった。

アリスも隙を見ては彼女に触れ、子猫のように甘えてくる。

傍から見れば、その光景はまるで恋人同士そのもの。

しかし彼女たちはお互いのことを詮索せず、ただ静かに寄り添うだけだった。

そんな奇妙な生活を送るうちに、アリスの中にある感情が芽生える。

アリスはフユノの方へ向き直った。

「アリス?」

フユノが不思議そうに声をかけるや否や、アリスはおもむろに衣服を脱ぎだした。

「……何のつもりだ?」

生まれたままの姿になったアリスは彼女の肩に手を置き、熱のこもった視線を送る。

若い頃から数多の女性と肉体関係を持っていたフユノは、日頃から自身を見つめるアリスの目が、ただの好意ではないことに容易に気づいていた。

それでも手を出さなかったのは、アリスを思ってのことだった。

2人は黙ったまま見つめ合う。

そして――

言葉よりも先に身体が動いた。

フユノもアリスに服を脱がされ、肌と肌が溶けるぐらい抱きしめ合う。

アリスはフユノに、焦がれそうなほど熱い感情を抱いていた。

いつどこで、この感情が生まれたのか分からない。

フユノと初めて路地裏で会った日だろうか、それとも彼女の手が自身の頬に触れた時だろうか。

しかし、アリスにとって最早そんなことどうでよかった。

とにかく今はフユノが欲しい。

アリスが考えられるのは、ただそれだけだった。

フユノは生来、孤高な存在であり、テリトリーに土足で入ろうとする者を強く拒んだ。

これからも一匹狼で生きていくつもりはずが、あの路地裏を通りかかったことですべてが変わってしまった。

なぜ素性も知らない野良猫同然のアリスを拾い、屋敷に住まわせたのか彼女自身も内心戸惑った。

傷だらけの彼女を介抱する最中も拾った後悔が押し寄せ、酒のせいだと自分で納得させるようにしたのだ。

アリスが話せるようになってから何度も事情を聞こうとしたが、その都度、言葉が出せず思い留まった。

聞いてしまえば彼女の境遇に同情し、余計な感情が生まれると恐れたのかもしれない。

だがフユノの中でアリスの存在が日に日に大きくなり、ついに受け入れていた。

「相変わらず、アリスの肌は冷たいな」

「…っ、もっと触って…フユノの熱がほしい」

無我夢中でお互いの体温を求め、ベッドのシーツが乱れていく。

肌から肌へ汗が伝い、フユノの手から甘く優しいムスクの香りが香れば、アリスを再び喜ばせた。

この香りだけは忘れたくないと、彼女を抱きしめる力が一層強くなる。

2人は今この瞬間を生き、快美な時間を共にした。

アリスは暇さえあればフユノにピアノを教わり、連弾できるまで上達していった。

皮肉にも生前の音楽家になるという夢を死して叶えたのだ。

だが彼女はその夢すら、もう覚えていないだろう。

ありきたりな毎日でも、愛する人と一緒にいられるだけで彼女はほかに何もいらなかった。

相手が自分のことをどう思っているのか、2人は聞こうとさえしない。

ほぼ毎日、身体を重ねてもフユノとアリスは愛の言葉を交わさず、曖昧な関係に浸っている。

フユノは相変わらず素っ気ないが時折わざとそんな態度を見せ、アリスの困惑した表情を楽しむ。

アリスもまたフユノに従順かと思えば、ふらりと庭へ行き、植物と会話するマイペースな一面を見せ始めた。

口数の少ない2人にとって、この気楽とも言える距離感は心底安心できた。

だから「好き」なんて言ってしまったら今の関係が壊れてしまう。

そう恐れたアリスは胸が締めつけられる思いになる度、フユノを求めた。

「たまには自分のベッドで寝ろ。私は1人で寝たいんだ」

「やだよ。フユノいないと寂しいんだもん」

「わがまま言うな」

「えー、フユノも私がいないと寂しいくせに」

「それはない」

「フフ、うそばっかし」

瞼を開けると、私室で本を読むフユノがいた。

朝目覚めて彼女が傍にいてくれることが、アリスの密かな幸せだった。

この頃にはアリスの顔の傷も癒え、外出しても冷ややかな目を向けられずに済む。

だが彼女は常にフユノの傍にいた。

「人の顔をジロジロ見るな。さっさと起きろ」

「やだ。もう少し見ていたい」

フユノが本気で怒らないと分かってるため、アリスは無邪気に笑う。

「フユノも一緒に寝よ」

「そんな狭いベッドに私を寝かす気か?」

「じゃあ抱っこして」

アリスは甘えるように両腕を伸ばす。

彼女のわがままにフユノはため息をつきつつ、椅子から立ち上がった。

「…ハア、やれやれ。野良だったくせにとんだわがまま猫に育ったものだ」

「拾ったのはフユノでしょ?責任取ってね」

アリスはフユノの嫌そうな横顔を見て、イタズラっぽく笑った。

解説

いやー、長くなりました。

3月に書いたものを11月にリライトしたので、描写が少ない箇所やssを追加してます。

ストーリーの簡単な流れとしては、ゾンビとなったアリスをフユノが拾い、生活を共にしていたらアリスが自我を取り戻し、2人の間に愛が芽生えたといった感じです。

それと実際、アリスはオカルトでも何でもなく、ただの人間で死んでいません。

単に肌の色を青白くさせ、ゾンビっぽいccを被せてるだけです。

プレイヤーが人外×人間のカップリングが大好物なので、オリジナルのオカルトシムを作ろうとアリスを誕生させました。

アリスが雷でゾンビとして蘇った箇所は、フランケンシュタインの誕生から着想を得ました。

蘇った直後は自我がなく、フユノの屋敷で安静にしたおかげで徐々に人間らしさを取り戻してピンピンしてます。

色々ツッコミたくなる点はあるかと思いますが、そこはご愛嬌ということで。

当記事を書くきっかけになったのは、シマーさんのブログでシムのストーリー調な記事をお見掛けして、自分も書いてみたいと思ったからです。

でも下準備が思ったより大変…ブログを続けているシマーさんはすごい。

2人は恋人ではなくセフレ(WickedWhimsのカジュアルセックスパートナー)の関係ですが、それのせいでアリスが屋敷を出ていく遠因にもなるんですよね。

簡単にお話しすると、後に現れるフユノのもう一人のセフレ、リツコがフユノに結婚を迫り妻になったのがきっかけで、アリスが屋敷から出ていったんです。

いわゆるWSS(私が先に好きだったのに)ってな感じで、超強力なライバルのリツコに横取りされ…

恐らくアリスは屋敷に自分の居場所がなくなったと感じて、自分の意思で出ていく決断をしたんじゃないかな。

告白すらしない曖昧な関係に甘えた結果ですね。

1人になった彼女は自律でユウコというタウニーと結婚したので、数か月ぐらい放置してました。

しかしある時様子を見に言ったら、なんとフユノと不倫していたんです。おいおいおい。

それだけならアリスを責め、ユウコを擁護したんですがユウコ側も知らないNPCと不倫してたんですよねw

↓その現場を目撃した当時の私のXの呟きです。

まさかのW不倫って……これだからシムズは面白い。

悲恋から立ち直り、新しい愛に目覚めたと思いきや泥沼ですよもう。

でも私自身、フユノとアリスが大好きなので不倫劇を見守ることにしました。

↓※追記2024/11/07※

フユノとアリスの行方が気になる方は、「シムズロマンス劇場」という4コマ漫画を掲載しておりますので良ければご覧ください。

フユノについては下記リンクの記事に記載されてます。↓

最後に、ccとポーズmodを配布してくださったもっく様、A-LUCKYDAY様、シムズ4様、そしてブログにお越しくださったあなた様に心から感謝を。

もっく様

A-LUCKYDAY様

※ NEW ※ | a-luckyday

ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました!

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