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~前回までのあらすじ~
ビワの部屋で泊まることになったアキヒナは、彼女とこじれたきっかけを思案し、ケンカした日(3話)だと気づく。
自身に対するこれまでの彼女の行動に戸惑いながらも、アキヒナはビワの気持ちを知るため向き合おうと決心した。
「ああ、クソ!また監禁エンドか!」
「セイジ、さっきから何やってんの?」
「ギャルゲームだよ。攻略したいヒロインがいるのに、選択肢をミスるとヤンデレになるんだ」
「ヤンデレって何?」
「ヤンデレとは、主人公への愛が強すぎあまり気持ちが病んでしまう精神状態のことだ。愛し方は様々で、束縛やストーカー行為、脳内で仮想恋愛、過保護などが挙げられる」
「さらに自分と主人公の間に第三者が乱入したり、主人公に振られると発狂して襲い掛かったりする習性がある。だから大半の主人公は”逃げる”か、ヤンデレを倒して別のヒロインと結ばれることが多いんだ」
「あまり恋が報われないのね。なんだか可哀想……」
「いやいや、恋が成就しないのがヤンデレの宿命であり、魅力の1つなんだよ」
「主人公も怖がらずに受け入れなさいよね。まったく」
「じゃあヒバリは知らない男に強い愛を向けられてもOKするんだな? ヤンデレを受け入れるには命を懸けるほどの覚悟が必要だぞ」
「大げさね。これだからオタクは」
「私がヤンデレの子を救ってみせる……あ、死んだ」
「な? 難しいだろ」
「そういえばヒナはビワちゃんと仲直りできたのか?」
「お泊まりするって電話があったからもう大丈夫よ。きっと」
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「おはよう、アーちゃん。よく眠れた?」
「ビワ、こっち来て」
「ん? なあに?」
「今日は2人で遊びに行きたい」
「え?」
「朝ごはん食べたら出かける準備してね。私も一旦帰って着替えてくるから」
「でも……」
「信じて。私はビワから逃げないよ」
「……分かった」
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「この前ね、昔の私とビワが夢に出てきたんだ」
「夢?」
「家が隣同士だから毎日遊んだよね。ブランコとかお人形遊びとか」
「楽しかったなあ。今ももちろん楽しいけど」
「実は私も懐かしい夢を見たよ」
「え?」
「私が中学生になりたての時、アーちゃんが朝、迎えに来てくれたの」
「小学生の頃は毎日一緒に登下校するのが当たり前だったからね」
「でもアーちゃんは小学校、私は中学校に行くから一緒に登校できないって言ったら……」
「やだ!なんで学校が変わるの!」
「って、わんわん泣いてたよ。覚えてない?」
「あー……おぼろげに……」
「たぶん、ビワと離れるのが寂しかったんだろうな」
「アーちゃんが私を求めてくれてすごく嬉しかった。誰かに必要とされるってこんなに幸せなんだって感じたの」
「そんな、大げさだよ」
「大げさなんかじゃない。だってその時から――」
「好きなんだもん」
「ごめん。引いたよね? 急に言われて気持ち悪いよね?」
「でも大好きが抑えられないのっ」
「ビワ……」
「お願い嫌いにならないで。アーちゃんに拒まれたら生きていけないっ」
「拒んだりしないよ」
「でもアーちゃんは、同級生の男の子が好きなんでしょ?」
「実はそのことなんだけど……」
⑦へ続く……
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